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トード島の騒動
お勧め度:A-
- Slick puppy
- 著:カール・ハイアセン
- 訳:佐々田雅子
- 扶桑社
ミステリ、というか奇人小説というか、まあエコ小説なんでしょう。
帯から裏表紙の紹介から巻末の解説から、とにかくいたるところに奇人変人ばかりが登場する小説だと書かれてます。まあたしかにヘンな人ばかりでてきますが、現実の戯画化としてのヘンさなんで、極端なキャラクターたちを平均すると以外にまっとうになってしまいそうです。別のいい方をすれば、小説の中でモビールのようにゆらゆら揺れ動いているキャラクターのバランスをとっている重心は常識的でまっとうなポイントに落ち着いています。私はそのへんが物足りなかったんですが、重心の位置を一貫させてぶらさないことを書いてる小説ですから、仕方ないでしょう。
小説の技巧はかなり達者で、人称はずっと三人称ですが、エピソードごとに視点を変え、時には一続きの事件の途中で二度三度と視点を転換することまでしても読者を惑わせません。語り口は同じながらも、視点を変えるごとに情景描写もキャラクターに合わせて、奥行きをだしているのは見事です。