とらドラ! 大河のウソ

とらドラ!」は見直すたびに発見がある。21話で修学旅行先から実家に直行したあと、母親に甘えまくってきたというのがそもそもウソだったんですね。
みのりんから、大河は母親とはうまくいってるとフォローが入ってだまされてしまいましたが、父親の件でみのりんともめた時に大河が母親のことは隠したんですね。大河は父親のことは好きだったけれどずっと裏切られつづけていた。そして母親はずっと嫌いだった。母親の方も大河とどう接していいかわからなかった。娘がマンションで一人暮らししてて母親の影が全くみえなかったのは、再婚してるとか以外にそういう事情もあったんでしょう。父親が失踪して大河がケガしたときに母親が心配したのか、世間体をあくまで気にしただけだったのか、一切描かれていません。ただ母親は大河がマンションに戻ることを許さずに引き止めたんですね。で、大河は逃げ出してきた。だから、母親が連れ戻しに追っかけてきた。そういう展開だったんですね。父親のことはあれこれと悪く言うけれど、母親についてはしれっとウソをつくというのが、心理的な距離感を示していたわけです。
とらドラ!」は同じシチュエーションをキャラクターを変えて何度も繰り返す、と前にも書きました。家に帰ってみると母親がいない、そこで逃げることだけを考え詰めていたのがいったん冷静になって、自分を見つめ直せる余裕がでる。そして、現実に立ち向かう決意ができる。24話で竜児が、そして最終話で大河が同じことをする。
これは、まあ大切なことだから二回言ったんだということもあるでしょうけれど、人生の岐路は誰にでも訪れるし自分一人で決断しなければならない重要な選択を誰もが経験するからなんだと思います。立ち止まることもやり直すこともできない分岐点を、キャラを変えて繰り返し描くことで、それぞれのイベントの個別性を超えた、誰もが経験することとして描こうとしたのではないでしょうか。
いやホント、「とらドラ!」は人生だよ。