CLANNAD AFTER STORY #24 総集編 緑の樹の下で

みんな死んじゃうバッドエンドは汐が生まれる瞬間に朋也が見た夢、ということになってました。邯鄲の夢、ってやつですか。でもそれになんの意味があったのか全然わからないよ。ただ泣かせたかっただけにしか思えない。まあ文芸路線でお涙頂戴って根強いんだなあ、とは思った。
男手一つで朋也を育てる、と言った父はどこでどうしたのか酒浸りで廃人同様になって息子は家に寄り付かなくなるし警察にはつかまるしで散々でした。物語では親子は和解するわけですが、その後父は母つまり朋也の祖母の家に帰ってしまい、むしろ子育てという呪縛から解放されたというふうにしか見えませんでした。同じように朋也も男手一つで娘を育てようとして、ついに死なせてしまって呪われた父親の系譜を受け継いでしまいます。そこで夢から醒めると渚が無事出産を終えたところで、それから親子三人仲良く幸せに暮らしましたで終わったら、男は嫁さんがいないとダメだよなという話にしかならないでしょう。少年の朋也にとって優しかった父親が、なぜ憎悪の対象になったのか。そこには大人になっていく子供と親との関係という問題があるはずで、それをすっとばしてただ和解という結果だけ見せられても説得力がうまれるわけがないでしょう。子供が生まれて父親になって、それで自分は大人ですといわれたって、その子供も大人になっていくという部分が抜け落ちてるんだからまた同じ問題が突きつけられるんじゃないんですか。
登場人物それぞれが主体的に動いてドラマを進めていくというより、既存の家族観といった枠組みに寄りかかってキャラを動かしているという感じで、展開に詰まると街の伝説や終わった世界の物語といったファンタジー的な仕掛けが顔を出してくるからどうにもキャラクターに説得力を感じませんでした。