四畳半神話大系 #11 四畳半紀の終わり

アバンで時間巻き戻し、OPはEDのネガバージョン。これまで不毛なキャンパスライフと思っていたものが、見方を変えれば充実した生活に、諸悪の権化だった小津は唯一の親友に、くるりとひっくり返る。目の前にぶる下がっていた好機=モチグマンに手をのばすと、四畳半世界は通過する叡山電車の振動と轟音に包まれ、気がつけば大量の蛾とともに「私」は京の街に戻っていた。ほんわかの飛行船強奪に失敗して追い詰められた小津を助け出し、「私なりの愛」を示す。明石さんともねこラーメンを食べて、ハッピーエンド。小津との付き合いにおける力関係のバランスが一気に逆転することで、「私」の現実との関係の変化を端的に見せているのが面白い。新しい世界へと踏み出そうとしたときに見える、合わせ鏡のようにずらりと連なったモチグマンも面白い。合わせ鏡が別な世界への扉を開くパターンからの連想だろうか。
崩れ落ちた壁の巻き上がる埃かなにかかと思ったら、蛾の大群だったのはびっくり。わたしも蛾はキライです。
同じ題材を少しずつ変えながら繰り返して全体の構造を組上げるクラシック音楽のような森見登美彦らしい構成をうまくシリーズ構成に活かしていた。写真を取り込んだ美術にシンプルな線のキャラを合わせた画面も寓話的なテーマに合っていたと思う。いかにもノイタミナらしいアニメだった。
でも、やっぱアニメ化するなら、歩けよ乙女でしょJK。