鋼の錬金術師 嘆きの丘の聖なる星

オリジナル脚本の新作劇場版としては楽しめた。11.5巻ももらえたし。でもハガレンとしては中途半端で、多分ギャグの多い外伝とかに徹してくれた方が嬉しかったかも。渋谷で、ほぼ満員。女性客の多さにちょっと驚いた。
一応封切り直後なので、ネタバレ配慮。
ハガレン原作の世界観に則って、アクションもふんだんに盛り込み、原作ファンにも初見の観客にもサービスして、よくできてた。でも、原作のイシュバールに関するエピソードのダイジェストみたい。大国の覇権主義とテロルの抵抗の論理とか、原作27冊かけてやったテーマを2時間弱でダイジェストにされてもなあ。それとハガレンのアクションって、派手な錬成があっても、バトルは肉体的なんです。ただ飛び道具を撃ち合うだけでは魔法合戦になっちゃう。アルたちの知らない、別の錬成陣と言いつつ、やっぱり賢者の石かよ。アメストリスの錬金術と違う錬金術、という設定を活かしきれてない気が。伝声管のシステムは面白かったけど。
千尋の谷にかかる鉄橋とか、とにかく上下の落差を強調する画作りやアクションは映画的で見てて楽しい。でもなんかジブリっぽいと言うか、昔の宮崎アニメを思わせる。落ちてくる女の子を受け止めたアルが勢いがついて止まれずに崖から落ちそうになるシーンとか、いかにもだった。最後に溶岩を止めようと伸ばしてく岩が手の形なのも、ハガレンというよりはジブリのセンスのような。黒コウモリとか、犬神家の一族なラスボスとかも、そんな感じ。
背景美術とかはよかったわりに、キャラの作画はちょっと甘かった。