SHIROBAKO

久しぶりに毎回楽しみなテレビシリーズでした。BDも買っちゃったし。だって板野一郎がオーディオコメンタリーとかつけてんだよ。
概略説明すると、アニメ制作会社を舞台にしたお仕事アニメです。アニメ業界ものだと、アニメーターや声優が主人公ってのが多いけれど、制作進行を主人公にしてて、これは結構珍しいと思う。制作進行って全体の調整役だから、アニメが出来上がるまでの流れ全体を見せていくには丁度いいんですね。2クールで、前半がオリジナルTVシリーズの話、後半が人気マンガの原作をアニメ化する話。女子高でアニメ同好会をやってた仲良し5人組が、それぞれアニメ業界で夢に向かって進んで行く物語をメインにして、仕事のトラブルや職業人としてのそれぞれの悩み、葛藤などを絡ませてドラマを作っています。アニメを作るお話なので、制作中のアニメが劇中劇として出てくるわけだけど、それを巧みにメインのドラマにシンクロさせて盛り上げていく手法が見事にきまってます。アニメの作り方の分かりやすい解説でもあるし、業界ネタが盛り込まれた内幕モノとしても楽しめるんだけど、手描きのアニメとCGの3Dアニメをどう扱っていくかといったトピックについてアニメ制作会社としての考え方を持った上で、それに絡めてエピソードを作ってるから、話が上滑りにならないで説得力のあるしっかりしたドラマになってます。
いきなり公道レースが始まったりとか、けっこうぶっ飛んだシーンは多いんですけどね、見終わった印象はリアルなんですよね。登場人物の年齢構成や男女比が現実的な設定になってるのも影響大きいかな。アニメ業界内のトピックということで、ある程度視聴層にも馴染みがある前提でかなり突っ込んだ描写ができるというところもメリットとしてあったんだと思う。どんな業界でも旬の問題って、理解するためにはそれなりに複雑な状況整理の解説が必要になる。そこで、興味を持って聞いてもらおうとするのは、視聴者に一つハードルを越えてもらわないといけないんだけど、アニメ業界ネタということで興味を引きやすいということはあったんじゃないだろうか。技術の継承と後身の育成というのは、このアニメを作ってるP.A.WORKS自身が積極的に取り組んでる課題ということで、本編でも強いメッセージとして出てくるけど、これは日本経済全体でも旬のテーマですね。
IGやボンズの社長だとか庵野さんだとかボンボン出てくるし、アニパロというか引用も多いけど、単なる遊びじゃなくて、そこに出す意味をもたせてるから、密度の濃いドラマで且つ重くならずに楽しめるし、盛り沢山でも混乱せずにスッキリ明快になっている。
ダレた話数が一つもないし、名エピソードも多い。群像劇としても完成度高いし、ラストのクライマックスは正に神回の名にふさわしい。今年も良いアニメが見られてよかったです。