パンズ・ラビリンス

ギレルモ・デル・トロ監督作品。第二次大戦終盤、フランコ体制下のスペインで、少女が牧神パンと出会う話。そう言えば「ミツバチのささやき」もフランコ政権時代のスペインの話だった。
主人公の少女オフェーリアは、母親が再婚したので、その新しい父親のところに行くのだけれど、実は再婚相手がフランコ軍の将校で、家というより対ゲリラ掃討作戦の基地みたいな所だった。
オフェーリアはお話が好きで軍人とかは苦手で、新しい家も居心地悪いのだけれど、早速妖精を見たりして、古代遺跡の迷宮の奥に入り込んだりする。そこで出会ったパンに、実は自分は妖精のプリンセスだと言われて、妖精の世界に戻るための3つの試練を言い渡される。
オフェーリアが、試練を果たすために不気味な怪物を相手に不思議な世界で冒険する一方、父親の方はゲリラと戦ったり、捕虜を拷問したり、ブラッディ・カーニバルを開催したりしている。
少女の不気味でおぞましいファンタジー世界の冒険と、残虐なフランコ軍将校の戦闘が並行することで、美しくもおぞましい残酷な世界が描かれる。舞台は1944年とかその辺だけど、もっと前近代的な、人と妖精がともに暮らしても違和感のない情景が良い。
映画の最初に、予兆のように出てくるヘンな石像が、千と千尋の最初に出てくる道祖神みたいだった。デル・トロならやっぱり狙ったんだろうなあ。