マリア様がみてる

マリア様がみてる 33 ハローグッバイ (コバルト文庫)

マリア様がみてる 33 ハローグッバイ (コバルト文庫)

十年を超えて続いた「マリア様がみてる」のシリーズも、この「ハローグッバイ」で一区切りだそうです。祥子さまご卒業で祐巳・祥子編は終わったわけだけれど、ここまで来たら瞳子乃梨子の妹も見てみたい気がします。
紅薔薇姉妹のエピソードはほぼ前巻の「卒業前小景」でやってしまったので、シリーズ全体のエピローグになるんだろうと思ってたら黄薔薇姉妹のエピソードなんですね。トリを務めるとはさすが吉乃です。聖さま祐巳の前は令ちゃんで遊んでたんですね。
スール制度は作中でも夫婦に例えられ、百合というかエス小説復権の旗手みたいにされたシリーズでしたけど、これだけ続けられたのは「妹がさらに妹を作ると姉はおばあちゃんになる」という世代交代にシステムを組み込んだからでしょう。タテのつながりが卒業生を通じて社会全体に広がりをみせて、スール制度が女系社会の基礎となる良き伝統として位置づけられる。だから作中キャラは百合ものにありがちな背徳感や後ろめたさと徹底して無縁で、明るい。それが登場キャラの多彩さにつながって、マリみての魅力を支えたのです。
まあおかげで小笠原家の女癖の悪い男たちのような男性社会の住人は影が薄くなって、ギンナン王子で代替されてるわけですが。