とらドラ! #23 進むべき道

みんな大河を選ぶんだ。

喜んでくれるといいな、みんな

みんなが揃った夕暮れの教室で、気がつけば知らぬは大河ばかりという状況になっている。大河がひとりはしゃげばはしゃぐほど、どんどん空気が緊迫していく。空気の重さに耐えきれなくなったかのように作画が走り出す。
ついに大河と実乃梨の対決となり、逃げようとする大河を阻むのが亜美と祐作。亜美もストーカーから逃げて来た経緯があり、ふと気がつけば集まった一同みな逃げ回った果てに一歩を踏み出したやつらばかり。そして竜児は、決断を迫られる。竜児は実乃梨と共に大河のために走るのか、あの福男レースのときのように。うぅぅ、「とらドラ!」は毎週憎らしいEDで引くなあ。
進路調査票を飛行機にして飛ばす逢坂大河は、自分が何者であるのか何者になりたいのか決めることを拒絶する。「自分がなにをしたいのか自分でもわからない」と彼女は繰り返す。匿名の善意、儀式的な愛情は自分自身を規定せずにすむ。しかし竜児に対する感情は大河自身の存在を規定せずにはいられない。彼女は自分が本当にほしいものを認めることが怖いのだ。本当にほしいものが失われる絶望に耐えられないから。

高須くんはお母さんに反抗したこと、ないでしょ。

恋ケ窪先生(独身)に指摘される高須竜児はダメ女を見つけて背負い込みたいタイプ。でも、「大丈夫」と励ますのはやっちゃんであり大河だ。同じ道を歩む同志がほしい、と言う亜美にはそんな共依存じみた関係がイヤだったのかもしれない。

別に、みんなじゃなくてよかったのにな。
分かってなかったのは、私も一緒か。

川嶋亜美がほんとにほしかったのはなんだろう。竜児、仲間、大河の笑顔?彼女が傷ついた大河を見たのは学園祭のミスコンのときのことだろうから、1学期が終わっても転校しなかった理由にはならない。竜児たち三人の疑似家族関係を批判する亜美は、その輪の中に入りたかった。しかし、彼女にはその関係が続かないことも知っていた。そして壊れていくその先で一番傷つくのが大河なんだ、と彼女は考えたんだろう。だから彼女は、大河を守るために戦った。もしかしたらそんな大河が、欺瞞に取り囲まれて孤独だった彼女自身の過去と二重写しになっていたのかもしれない。
そんな川嶋亜美からさんざん欺瞞を批判された櫛枝実乃梨が、今度は攻撃側にまわる。遭難した大河を助けたのが北村になってることから、いきなり核心に迫る彼女の鋭さは異常。それだけ大河と竜児のことを考え続けていたからこそなのだろう。

うそつき。聞こえてなかったですませる気?

みのりんのセリフはまったく「お前が言うな」大会になっているわけだが、彼女が一番ほしいと思っているのは竜児ではない。竜児が好きなのは確かだけれど、多分一番ほしいものは何か別にある。

しかし、進路指導は二人まとめてはやらんだろ、ふつー。