BSマンガ夜話 石川雅之「もやしもん」

私はかわいい菌のウンチクが好き。だから人間関係のドラマの方に行こうとすると、惰性で読むだけになっちゃったりした。しかし方向性が定まらずに投げっぱなしの伏線だらけな展開を、多様な読みを許容する重層的な構造とかまたえらくポジティブにとらえるもんだと感心したり。
恋愛がらみの人間ドラマとか、設定は整えるんだけれどそこから先に話が進んでいかないとか、勉強熱心な作者が自分で調べたことを面白く読ませていく形で話が転がってくんだけど、作者の興味が移っていくと話の方向性もどんどん逸れていくとか、いろいろとネガティブな要素があがるんだけれど、でも実際読んでると面白いのはなぜなんだろうねえと不思議がる回でした。作者が好きなこと、書きたいことを書いていて、作者自身の感じる楽しさ面白さを読者にも届けようという技術とサービス精神が、支えているということのようです。
美味しんぼもそうだし、きくち正太の「おせん」とかもそうだけど、最近の料理マンガってだいたい説教になるんだよね。美味しんぼなんて説教通り越してプロパガンダバリバリで、左のゴー宣かって勢いだし。「もやしもん」も現状への批判とか強い主張がでてきたりもするんだけれど、メッセージのためにベタなドラマを作ったりはしないとか、ポリティカルな結論にもっていかずにバランスをとるあたりが好印象です。番組ではあまりそっち方面にはつっこまなかったけれど、そのあたりの考察はあっていいと思う。