末次由紀「ちはやふる」

ちはやふる(34) (BE LOVE KC)

ちはやふる(34) (BE LOVE KC)

  • 作者:末次 由紀
  • 発売日: 2017/03/13
  • メディア: コミック
全国高校かるた選手権が終わり、高3のかるた部員は受験に向かう中、千早は受験とクイーン戦とどちらを取るのか迷う。一方「かるたのプロ」を目指す詩暢は「強さ」以外を要求されるテレビ出演に混乱する。
主要キャラがそれぞれ自分とかるたとの関わりを見直す中で、千早は主人公らしく突っ走ってるけど、詩暢ちゃんの混乱と救済のエピソードがもはやライバルというよりもう一人の主人公というくらいの構成。窮地の詩暢を助けるのはいつも千早なんだな。
須藤先輩の意外なかるた愛の発露とかもあるけど、周防名人のキャラが非常識に見えて意外に常識人だったり傍若無人のようで意外に気配りしてたり、ますますよくわからなくなってる。herecy8.hatenablog.com

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アニメ1期の感想も再掲してみる。

非凡な才能に恵まれた主人公を中心に据えながら、決して才能だけを突出させず、チームメンバーの成長を平行して描いていく。競技かるたの体力を使う体育会系な面と、和歌を味わう文科系の面と、両方で話を作れるところがミソ。いかに素早く反応するか、というフィジカルな側面、決まり字の変化を追い続けるパズル的要素、試合の駆け引き、そしてそもそもの和歌自体の意味背景、と競技かるたの多面的な性格を、かるた部の部員各人がそれぞれ自分なりのアプローチで取り組むことで見せる。それが同時 に、各キャラ同士がかみ合ってチームを有機的に動かしていく描写にもなっている。主人公のかるたへの情熱が周囲を巻き込んでいくことでドラマが展開していく。かるたに絡めて積み重ねられていくさまざまなキャラのエピソードが、「人から人へと伝わっていく想い」というテーマにブレがないので、回を重ねるごとに話が深まっていく。

早さ一本で勝ってきた主人公の千早が、クイーンと戦うためにもっと武器を増やしていこうともがく展開で、構成としてはダレがちなところでも、キャラ同士のドラマと、かるたそのものの魅力で、飽きさせずにぐいぐい引っ張っていく。ちょっとこれヤバいよ、稀に見る傑作なんじゃね?