香月美夜「本好きの下剋上」第三部領主の養女

本好きシリーズ10冊目、第3部の3巻。孤児院、ヴィルフリートで実績を積んだローゼマインが、次は貴族の子弟を相手に、貴族院入学前の予備校を始めます。読書人口を増やすための遠大な改革事業の始まりです。ついでにローゼマイン工房で作った教材を売り込んで資金を確保。一方で素材採集を進めて山のような巨大魔獣と戦ったり、女神様と遊んだり、ファンタジーな冒険もあります。アンゲリカの残念美少女っぷりが明らかになったり、フィリーネも初登場するし、ハルトムートとかトラウゴットとか主だった上級貴族の子供も名前が出て来るね。
SSはランプレヒトとインゴ親方、アニメイトとTOブックス通販特典SSもランプレヒトでした。印刷機改良前後のインゴの動揺っぷりを通して、少なくなった下町成分が楽しめます。ランプレヒトの話は、ヴィルフリート側近の動揺と結束の過程ですが、領主一族を守るカルステッド家の誇りと主人に仕える護衛騎士の覚悟が問われてしまったりする一方で、ローゼマインに対抗心を燃やしてるヴィルフリートの様子も今後の伏線だったり。
http://mypage.syosetu.com/372556/
WEB版は本編完結して、今活動報告でSSリクエストを募集してます。第5部後半からは怒涛の展開で本筋一本で舞台が中央に行っちゃったから、これまで濃密に描写されてたキャラのほとんどが置いてきぼりになってしまって、その後が気になるキャラばかりです。それこそ主要キャラそれぞれ一本ずつ書いて欲しいくらい。ローゼマインのその後も、「11人いる!」の後の「スペースストリート」みたいなショートコメディ連作で読めたらいいな。
本編で残された謎は、フェルディナンドの過去と中央騎士団長ラオブルートとの因縁ですね。ラオブルートの妻オルタンシアが言った「シュラートラウムの花」の説明は何もないままですし、ラウブルートが何を考えてたのかも明かされないままです。ゲオルギーネも、全編に影を落とす存在感のある敵役なんですけど、直接の描写は驚くほど少ないし、どういう人物なのか読んでみたいな。

香月美夜・鈴華「本好きの下剋上」 - ねこまくら
香月美夜・鈴華「本好きの下剋上」 - ねこまくら
香月美夜「本好きの下剋上〜司書になるためには手段を選んでいられません〜」 - ねこまくら

herecy8.hatenablog.com
herecy8.hatenablog.com