機本伸司「神様のパズル」

神様のパズル
お勧め度:BBB+

神様のパズル (ハルキ文庫)

神様のパズル (ハルキ文庫)

小松左京賞受賞だけあって、巨大科学の壮大なテーマに真っ向挑んで書ききったSF。ただそれを取り巻く人間ドラマの方はどうも… 一番最初にヒロインの設定をセリフで延々と説明しちゃうんですが、これはエピソードで描かんといかんのじゃないか?ゼミに入ってきた主人公に担当の教授がいきなりヒロインである天才少女を巡る相当微妙な問題を縷々説明して引き込むんだけど、普通そんなことしないよな。裏側には巨大科学の予算穫りとか、研究室内のけっこうドロついた人間関係とかあるんだけど、なんかさらっとしか描かない。まあ重たくなるのを避けたんだろうけど、おかげで共感しづらくって、よくわかんない感じになってる。