屍鬼 第腐汰悼話

狩りはエスカレートして、ついに人間までも杭を打って殺してしまう。
一方、起き上がっても人間でありたい律子は食事を拒否し、そのために閉じ込められていたやすよを逃がす。そして狩人に怯える沙子は静信にすがりつく。
冷徹な現実を前にして、各人がそれぞれの選択をする。その判断基準となる「正しさ」とはなにか。
小野不由美十二国記屍鬼、そして黒祠の島と一つの社会をまるごと描くことに精力を傾けるのはきっと「正義」を書きたいからなんだ。正義とは個人に属するものではなく、他人との関係の中で問題にされる基準であり、社会を取り仕切る平衡感覚だ。人間が社会的な動物であるからには社会を維持することは肯定されるべきだし、だったら正義とは社会秩序の維持でなくちゃいけない。だけれど、その社会が歪んでいたら、その歪んだ社会の維持が正義であるはずがない。歪んだ不完全な社会で正義は可能なのか。正義が可能な社会とはどんな社会なのか。それが書きたいんだと思う。
パイプラインでの凄惨な戦いとかはカットされたのね。ところで原作では死んだままの夏野だけど、人狼にしたのは正志郎と会話させるためだったのか?今ひとつ改変した意味が薄い気がするんだけど、最後はどういう扱いにするんだろう。それに原作通りだとあと1回では終わらないような。