川上弘美「大きな鳥にさらわれないよう」

大きな鳥にさらわれないよう

大きな鳥にさらわれないよう

はるかな遠い未来、滅びゆく人類は小さな集団に分かれ、静かに暮らしていた。ほとんど説明のないまま、詩情に溢れた短編が夜の雪のように静かに積もっていく。そんな川上弘美SF小説です。断片的な物語を積み重ねていって、最後に壮大な未来史を浮かび上がらせる、という手法はよくありますが、日本の文芸作家が書くと、なんと話し懐かしいイメージが、しっくりきます。ふと手塚治虫の「火の鳥」とかも思い出したり。詩情に溢れた余韻を残す、といえば新井素子チグリスとユーフラテス」を思い出します。

チグリスとユーフラテス 上 (集英社文庫)

チグリスとユーフラテス 上 (集英社文庫)

チグリスとユーフラテス 下 (集英社文庫)

チグリスとユーフラテス 下 (集英社文庫)

遥かな遠い未来、遠く離れた惑星で暮らす最後の人間の話。元祖ラノベみたいな人ですよね、と思ったら「通りすがりのレイディ」とか復刊されてるのね。
星へ行く船シリーズ2通りすがりのレイディ
流れで、人類が滅んだ後の世界を舞台にした、静かな読み味のSFということだと、北野勇作とか。

カメリ (河出文庫)

カメリ (河出文庫)

カメでアメリだからカメリ。人の消えた世界の片隅の、ヒトデナシ相手のカフェで働く模造亀の静かで不思議な日常。カメSF作家北野勇作が書き溜めた連作短編集
herecy8.hatenablog.com