第45代米大統領ドナルド・トランプ

マスコミの論調も世論調査も予想外の展開で、トランプ大統領が誕生しました。ヒラリーって、ホントに嫌われてたのね。
BREXITの衝撃再び、だけど、今回は面白半分に投票した結果、というよりかなりマジだったような気がする。

まず、なんで世論調査がこうも外しまくるのか。とりあえず現在の段階では、トランプ支持を公言するのを憚る「隠れトランプ支持」が多かった、という説明が多い。お行儀の良いポリコレ的雰囲気に気圧されてトランプ支持を言い出せない、そういう空気そのものがトランプ躍進の原動力、ということかもしれない。そうか、アメリカ人も空気読まされてるんだ、とか思ったけど。
ただ、世論調査って、サンプルを抽出して母集団を推定する統計処理をしてるわけで、そのサンプルの抽出法が実態と合わなくなってきてる、ということはないのだろうか。サンプリングの段階で、上手く偏りを排除できなくなってるということはないのだろうか。その辺に言及してる記事がまだ見当たらないので、よくわからないのだけれど。

次に主な支持層と言われる崩壊した白人中間層について。
http://globe.asahi.com/feature/article/2016110200005.html?page=4
象グラフ、だそうですが。グローバル化によって、新興国国民所得が増えて、先進国の富裕層の所得も増えたけど、先進国の中低所得層の所得が落ち込んだ。この人達の不満が所謂ポピュリズムの形で、欧米諸国いたるところで吹き出してる。トランプ現象もその一つ。彼らが本当に生活に困り、食えないんだったら再分配政策の民主党に行くけれど、当面食うには困らないが、将来への不安があるとか絶望、あるいはプライドを取り戻したいといった人達の要求には既存政党は応えられていないし、ヒラリーはむしろ彼らの「敵」になる。
ただ、どうすれば応えられるのか、というのは実のところよくわからない。保護主義とか反グローバリズムとかいうけれど、アメリカで炭鉱復活させて、製鉄所復活させて、それで解決するのか?やっぱり鉄は中国から輸入することになるんじゃないのかなあ。とりあえず道路作ったり橋作ったりのインフラ投資で雇用確保、みたいな話はある。公共投資ですね。でも、雇用自体は、ほぼ完全雇用状態なんだよなあ。「仕事があれば」誇りを持てる、というんだけど、別に仕事がないわけじゃない。就きたい仕事がないだけなんだ。
巨額減税と海外からの資金還流でバブルを起こす、という話もあるけれど、それって問題の先送りでは。
まあトランプは「小さな政府論」とは真っ向対立してたけれど、それで議会も共和党が勝ったわけだし、実のところ共和党支持者は「小さな政府」とか気にしてなかったのでは。

外交上のフリーハンド
http://lullymiura.hatenadiary.jp/entry/2016/11/09/224156
トランプ大統領の外交を一言で表すとすれば、「意気揚々と撤退する米国」ということになろうと思います。」
いよいよ覇権国なき国際秩序、というのを模索しないといけなくなるのかもしれない。ドルと金の交換を停止したニクソンショックを思い出します。日本は自衛隊法改正間に合ってよかったねえ。しかし日本より先に、中国が強気に出てきたときに、香港、台湾、韓国がどうなるのかっていうのはとても気になります。

進展した多様性への文化的反動
確かクリント・イーストウッドが、ポリコレ気にして、みんなお世辞ばっかり言い合うようになったと文句言ってた。リベラルの言葉狩りには、みんなうんざりしてたんだね。最初は多分、意味があったんだ。何気なく口にする言葉をあえて問題にすることで、固定化されて意識されなくなっている差別構造を顕在化させる手段として効果があったんだと思う。でも、手法としての限界ってのもあるんじゃないか。
http://www.fsight.jp/articles/-/41509
http://m.jp.wsj.com/articles/SB10153442616204504109704582252161311243018?mobile=y
80万人の難民を受け入れると発表したメルケル独首相は理想を追い求めているのだろう。しかし「メルケル氏はとてつもなく大きな文化の変化という重荷を自分や自分の同類で引き受けることはせず、厳しい生活を送り、このような重荷に対処するだけの資源を持たず、特別に保護されることもなく、金もコネもない普通の人々に背負わせた。」
「大量移民受け入れに伴うさまざまな摩擦を引き受けなければならないのは庶民だ。彼らが受け入れ反対の声を上げればエリートは「排外主義・人種差別」と非難する。そのエリートは移民との摩擦とは無縁の高級住宅街で安穏と暮らしている……。」
http://ikeuchisatoshi.com/%e3%80%90%e5%af%84%e7%a8%bf%e3%80%91%e3%80%8e%e4%b8%ad%e5%a4%ae%e5%85%ac%e8%ab%96%e3%80%8f9%e6%9c%88%e5%8f%b7%e3%81%ab%e5%ae%87%e9%87%8e%e9%87%8d%e8%a6%8f%e3%81%95%e3%82%93%e3%81%a8%e3%81%ae%e5%af%be/
https://www.facebook.com/satoshi.ikeuchi/posts/10206118084510160
「西欧に端を発し、米国を含め欧米が世界に広げてきた普遍主義を、西欧や米国自身が、もう支えられなくなっている、という観察です。西欧とイスラーム世界との関係を横から見ることで、実はこれこそが「隠れ主題」であると確信しています。
私は「普遍主義がいかん」という価値判断をしている立場ではないにもかかわらず、普遍主義が世界の隅々まで貫徹することは不可能であり、不可能であることを実は推進してきた主体も気づき始めている、」