かわぐちかいじ「空母いぶき」

日中もし戦わば、という軍事シミュレーションマンガ。中国人民解放軍尖閣諸島を占拠、同時に沖縄の南、先島諸島与那国島多良間島を占領して住民を拘束した。日本政府は領土の奪回と島民保護のため、自衛隊の防衛出動を決断する。
自衛隊は制空権を確保、海上でも優位を保ち、与那国、多良間両島に少人数の特殊部隊を潜入させることに成功する。しかし、対空ミサイル破壊のためのF35による対地攻撃に中国軍は、島民の分散収容による「人間の盾」で対抗する。対空ミサイルを無力化できなければ、後続の空挺部隊降下が困難になり、戦力で劣る潜入部隊は孤立する。さあ、どうする、という展開。
主人公は爽やかイケメンで、「沈黙の艦隊」海江田艦長にイメージが似てる。状況を東シナ海の局地紛争に限定して、キャラ描写も抑制的にして、よりシミュレーション色が強い。現実の国際情勢にマッチした題材で、否応なく引き込まれる。自衛隊護衛艦として初の空母就航というフィクションを入れて、米軍なしの自衛隊単独作戦、という設定も、いろんな意味で刺激的だね。自国防衛の原点を描くことで日本の安全保障に関する言論を批判してるともとれるし、日米共同作戦のオプションを消すことでフィクションであることを強調してるともとれる。何より日本人が日本を守る、という話の方がストレートに盛り上がるし。
空母いぶき(1) (ビッグコミックス)
空母いぶき 2 (2) (ビッグコミックス)
空母いぶき 3 (3) (ビッグコミックス)
空母いぶき 4 (4) (ビッグコミックス)
空母いぶき 5 (ビッグ コミックス) (ビッグコミックス)