パトリック・ロスファス「風の名前」

風の名前 2 (ハヤカワ文庫FT)

風の名前 2 (ハヤカワ文庫FT)

新人作家の思いっきり王道なハイファンタジー。伝説の秘術士クォートの少年時代の回想が続く。孤児となってたどり着いた港町で命がけで生き延びる術を学ぶ。誰にも頼れず、時にはゴミを漁り、あるいは盗み、ただ生きるためだけに必死になる日々を過ごす。しかし、偶然の出会いが、再びクォートの運命を変える。両親を殺したチャンドリアンの謎の手がかりを求めて、クォートは港町を去り秘術師の大学に入る。
壮大なドラマのまだ序盤で、街道伝いの旅、喧騒と暴力の街、そして大学と、舞台を移しながら生き生きとした描写でこの世界の空気を呼吸しているような気にさせる。主人公は武闘派ではないので腕力勝負では叶わないけれど、頭脳戦なら負けない。大学では、授業料を払えない、秘術校入学に必要な講義の師には目の敵にされる、と降りかかってくる難題を切り抜けていく。
風の名前 1 (キングキラー・クロニクル第1部)
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