佐藤大輔「帝国宇宙軍」

帝国宇宙軍1-領宙侵犯- (ハヤカワ文庫JA)

帝国宇宙軍1-領宙侵犯- (ハヤカワ文庫JA)

高次元跳躍航法のエラーで迷子になった移民船団が仕方なくその場で建国したのが銀河帝国、という設定が素敵。
宇宙船は高次元跳躍航法によって光速を超えて移動できるが、電磁波は光速でしか伝わらないので、通信は高次元跳躍航法のできる通信船で運ぶしかない。なので行動範囲が数十光年に及ぶ宇宙軍では、現場の裁量範囲を大きくせざるを得ないという設定も使い勝手良さそう。
開戦を嫌う大国と、それを見越して挑発をかける小国の、辺境星系での領有権をめぐる小競り合いが、次第に大きくなっていく。骨董品をレストアした駆逐艦の試験飛行中に、領有宙域を侵犯してきた敵性艦隊に遭遇してしまう。
話が動き始めて、さあこっからどうなる、という一番いいとこで、作者急逝のため未完となってしまいました。なので、あえて読まない選択もありうるけど、でも、すごい面白いんだよ。
銀河帝国とヒステリックな民主主義星間国家との対立ってのは銀英伝っぽいけど、敵艦隊のトップが女将軍なのは「皇国の守護者」っぽい。