今市子「百鬼夜行抄」

百鬼夜行抄 26 (Nemuki+コミックス)

百鬼夜行抄 26 (Nemuki+コミックス)

飯島律の祖父飯島蝸牛は怪奇小説家であったが、人ならざる妖魔たちとの親交があった。その所為で家には怪しげな、よくわからないものたちがうろついていた。祖父の血を受け継いだためか、律もまた幼い頃から「見える」子供であった。妖魔に狙われやすい孫を心配した蝸牛は、自身が従えていた強力な妖魔である青嵐を守護につけた。蝸牛がなくなった後も、蝸牛に縁のあった妖魔はやってくるし、飯島家の一族には特殊清掃業やってたり、民俗学のフィールドワークで怪しげな集落に行ったり、オカルトなトラブルを呼びやすい人が多かったりで、律の周囲にはいつも怪しげな影が差す。
影にいて気配だけがするモノ、目の端にちらっと映る気がするだけのモノとかが異様に怖くて、姿形のはっきり描かれた妖怪たちはどこか愛嬌があったり憎めなかったりする。でも、それは実は同じものだという、怪異の両面を同じマンガで描いてしまうというのはそうできることではない。日常と怪異の混じり合う幻想的な作風で、密度の濃い内容ながら説明は少なく構成は凝っていて、じっくり読まないと混乱する。ミステリではないんだけど、叙述トリックというか、何が現実で何がそうでないか、誰が人間で誰が違うのか、混乱するようにできているので、その構成に幻惑される感じが良い。
26巻までの間で、律が高校卒業して大学生になったくらいで作中時間はあまり流れてないけれど、それでも少しづつ変化は訪れている。最新刊では蝸牛の姉、水脈の子孫が登場する。まだ飯島家の人間と直接会うには至っていないけれど、何か因縁めいたネタが進行してるみたいで、続きが楽しみだけど、いつ出るんだろ。
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百鬼夜行抄 25 (Nemuki+コミックス)