サメマチオ「魔法少女サン&ムーン〜推定62歳〜」

最近老人マンガ増えたのか?変身を続けてる間は成長が止まる魔法のコンパクトの力で、身体と実年齢が乖離していった二人の魔法少女の、女の一生。小学生時代に河原でペアのコンパクトを拾ったかず子とよしえは、魔法少女に変身して魔王ブラックマダーと戦っていたけれど、ある時に自分たちが全く成長していないことに気づく。変身を解くたびに、最初に変身した11歳の身体に戻っていたのだ。二人はコンパクトを封印し、8年のタイムラグをおいてやっと人並みに成長を始める。
その後まあ色々あって、しばらくコンパクト使わないでいると初期化されて次にまた変身した時の体に基準が設定し直されるとかわかったり、でも変身後の姿はずっと変わらないままだったり、二人で若いまま永遠の時を生きるのがいいのか結婚して家族と同じ時を生きるのがいいのかという人生の選択があったりする。そして実年齢76歳、推定62歳のかず子がガンで余命3ヶ月の宣告を受けた時、初孫の顔を見るまでは死にたくないと思い、再びコンパクトの魔法を使いたいとよしえに相談する。変身は二人同時に行うのが唯一の発動条件なのだ。斯くして、中身ババアの魔法少女の活躍が始まったのだ。ただし今度は、変身をやめるとガンが進行する、つまり死期を選ぶということになる。基本1ページ4コマで、魔法少女モノパロディとしても秀逸。下手な扱い方のできない重たいテーマを含んだ話だけれど、静かな読後感の残る良作。