萌える気分について

重要なのは、この「萌え」が、彼らがキャラクターに対する愛情を表明したりして盛り上がりたい、といった彼ら独特で共通の気分を簡単に説明できたがゆえに、特定のファン以外のアニメファンの間でも急速に広まり、「萌え」が彼ら(おたく)の共通言語となったことだ。その後、語源のひとつとなったといわれるキャラクターが含まれる美少女戦士セーラームーンのヒットの原因が「萌え」を促進させる構造にあると分析した庵野秀明による新世紀エヴァンゲリオンのブレイク(商業的成功)によって「萌えビジネス」が確立し、そして、インターネットの普及にともない、アニメファンの活動が個人ファンサイトやBBSなどでも行われるようになり、結果、予期しない多くの人たちの目に触れられるようになるにつれて、漫画やアニメやゲームのキャラクターや声優などの「おたく専門趣味」以外の人たちも使うようになる(例:なっち萌え)。ただ、付け加えれば、モーニング娘。のファンが頻繁に「萌え」を使うのは、「娘。」がアニメのように消費されているがゆえに、そのファン層がアニメファンとダブる(「娘。」のおたくのことを「モーヲタ」と称する)こととも無関係ではないように思われる。