高野和「七姫物語」メディアワークスISBN:4840222657

和風ファンタジー。世界設定やキャラクター設定のセンスがよい。説明のための説明とかないし、王宮の政治劇や駆け引きの描写で妙に説教臭かったり青臭かったりしないし。どっちかというとあっさり系で、正直「ええ、もう終わり!?」という感じ。全然話の途中じゃん。
ファンタジーで架空世界なんだけど、例えば中世ヨーロッパ風だったら映画板指輪みたいなイメージとか、古代中国風だったらどうとか、まあある程度乗っかれるイメージがあるような舞台だと、描写が素っ気なくてもまあ共犯関係といいましょうか、ある程度イメージできる部分はある。全然そういう下敷きのない架空世界だと、小説の場合それなりにキッチリ描写してもらわないと、どういう世界かよくわからない。ま、当たり前ですよね。「七姫物語」は一応和風の香りがするんだけど、例えば平安時代あたりのイメージなんか江戸時代のイメージなんかよくわからない。ガラスとかあるみたいだし技術や社会の雰囲気とかは近世以降という感じなんだけど、政祭一致とか宗教儀式とか、精神生活では中世以前、古代に近い感じがする。馬車とか城塞都市がどうこうとか、大陸的な感じもあるし。なんで、もうちょっといろいろ描写してもらわないと、よくわからないです。家は木造が多いのか石造りなのかとか、生産力とか経済規模がどのくらいで、技術的になにが出来てなにが出来ないとか、そういうこと。別に細かい具体的なデータじゃなくていいんです。イメージなんだから。この世界でどういうことがアリで、どういうのがナシなのか、というルールがね、今イチ分かりづらい。