GUNSLINGER GIRL

妙に静かな画面。賛否両論みたいですが、オレ的には鳥肌たつような凄みを感じました。ちょっと昔のヨーロッパ映画風。
静謐な寮生活をすごす殺人機械。ふとしたことで知り合った少年と犯行現場で思いがけず邂逅するリコ。(こんなときにはどう言えばいいの)と口ごもるのは、「どんな顔をすればいいかわからないの」と謝った綾波へのオマージュ?レイは笑ったけど、リコは銃を撃つ。知らない誰かを標的にするのと、目の前の知り合い射殺するのとは全然違う心理的経験だと思うのだけれど、リコの心には影すら落とさない。感情が死んでいるというわけじゃない。頬を染めたりとか、少年にバイオリンを聞かせたいと思ってみたりとか、穏やかな感情が流れている。でも心理的な葛藤が生まれない。意思に従って機能する身体が自我で、感情はその派生物みたいな。なんかものすごいものを見せてもらいました。
人のいない街とか、長くのびた廊下とか、背景は構図も含めてすごいキレイなんだけど、なぜ人物は正面がヒラメ顔?ポーターの少年とか、作画が安定しなくって、正面向くと目の間がはなれるし、これだけはいかがなものかと思った。
ー追記
原作もこれまでのお話も知らずにこれだけ見て、なにか決定的な誤解をしちゃってるのかもしれないけれど、これって悲劇ではないでしょ。お話の段取りとして悲劇のパターンを持ってきて、悲劇にすらならないことを見せている。こういう壊れ方って、シビレる。ああ退廃。