GUNSLINGER GIRL

きのうの続き
義体である少女にとって、時間は積み上がる記憶ではない。過去は幾度となく上書きされ、あるいは単に失われていく。過去から引き継ぐものもなく、未来に伝えるものもない。永遠の現在だけがある。火の鳥復活編かと思ってたけれど、実はポーの一族だったんですね。
セカイ系として分類されているのを見て、最初ピンとこなかった。これまでセカイ系とされていた作品群は、悪意は好意の不在と孤独の象徴だったけれども、このガンスリ世界には悪意すらない。なにもないのだ。そして、存在するはずのない感情に戸惑っている。おそるべき荒廃。
トリエラには、血を流す子宮があり、並んだくまのぬいぐるみで数えられる過去がある。彼女にとって確かなものはそれだけだ。任務に背いてマリオを逃がすのは、多分素直に示せないヒルシャーに対する好意の補償だ。トリエラには、条件付けで与えられた自分と、「本来の」自分の見分けがつかない。
クラエスの記憶は何度も上書きされ、本来の意味を失っている。本の好きなおとなしいお嬢さん、戦意の高い兵士、本の好きな皮肉屋の女の子、人格は次々に変わる。それが他人の意思によるものであり、プログラムされたものであっても、クラエスは「私が決めるの」と断言する。彼女の喜びはラバロとの血の通った約束にあると言ってもいいし、条件付けで定められた主人の思い出と言ってもいい。クラエスにとってはおなじことなのだ。
続きは明日