新選組!

どんどん人が死んでいく。まるで富野……
「命にかえて」の言葉が伊達でも洒落でもない世界の物語です。観柳斎の小物なりの意地に河合なりに感じるところがあったのでしょう。土方の前でついかばってしまいます。放つ言葉の一つ一つが桎梏となって隊士たちを縛っていきます。自分の死を実感してしまった沖田には以前の明るさはもうありません。後味の悪い無理心中の後で、斉藤一もうなされるようになってしまいました。先週こそ、憎まれ役は望むところと嘯いた土方でしたが、今週はそれどころではありません。河合の切腹にはなんの意味もないからです。山南の死を無駄にできないという決意が、結局観柳斎の卑しいプライドを守るために利用されてしまうことを防げないからです。伊東相手に、広島で観柳斎を庇う近藤勇も、なんて人を見る目がないんだといわれんばかり。届いた五十両に大喜びする夢のシーンをはさむ演出も凶悪だし。目先の感情で龍馬を売って悪びれるところのない捨助がむしろかわいく見えてしまうほどでした。
河合耆三郎役の大倉孝二の熱演が迫るものがありましたけれど、八嶋智人もえらく難しい役回りをよく演じたよなあ。最初頼りなさげだった山本耕史も鬼気迫る感じが出てきたし。えらく凄いものを見せてもらっています。しかし、これからどんどん陰惨になってくのかなあ、もうこの前みたいなコメディの回はないんだろうか。