ARIA The ANIMATION #12 その まっしろな朝を…

アイちゃんも含めて全員登場の最終回。一足早いカウントダウンです。季節に合ったお話は嬉しいものです。動画枚数は節約してる感じでしたが、キレイな絵がいっぱいでネオヴェネチアの年越しを堪能できました。夜の底を白く染める静かな雪の街、温かな燈火に包まれた賑やかな広場、そして初日の出を待つ朝靄の中の船着き場と話らしい話もないままただゆったりと流れていく、ARIAらしい最終回でした。夜明け前の冷たく清々しい空気や白い光に包まれていく日の出のシーンは、シリーズ中でも屈指の出来で、10話のオレンジと対になる名場面でした。しかし今期のアニメって最後でカーテンコールのように登場キャラを紹介するのが多いな。結局ノームは当番回なしだった。
惑星アクアは徹底的にテラフォーミングされた移民星で、その風景は全て人の手によって作り上げられてきたもの。それを「人の想いを形にした」として全肯定したのがARIAの物語。癒し系、というかスローライフアニメなんだけれど、それは巨大なテクノロジーによる環境制御によって支えられている舞台で繰り広げられているわけで、なんかトリアノン宮で田舎暮らしを楽しむマリー・アントワネットのような気がしないでもない。原作だとその部分を火星ネコのファンタジー世界がカバーして、うまくバランスさせている。アニメでは火星ネコの不思議は過去とつながるタイムスリップとして描かれていて、バランスは大きく人間中心に傾けられていた。色が付き音が付き動きが付いたネオヴェネチアの風景は、アニメ化の甲斐があったと思うけれど、原作の息をのむばかりに圧倒される風景の存在感には届かなかったような。