橋本治「巡礼」

巡礼

巡礼

普通のおじさんおばさんの内面をねちこく描くのは橋本治の得意技。事件そのものよりも、そこに関わるそれぞれの人物の心理に重点をおいて描いていくので、地味な日常の描写を読んでいても飽きさせない。最後の方で話が急展開していくけど、それぞれの人物の内面での連続性があるから説得力があります。全体として救われる話になってるのは、戦後日本の鎮魂みたいなことをしたかったからなのか。