ジャック・キャンベル「彷徨える艦隊」

彷徨える艦隊 旗艦ドーントレス (ハヤカワ文庫SF)

彷徨える艦隊 旗艦ドーントレス (ハヤカワ文庫SF)

敵陣深く本拠星に攻め込んで大敗北を喫した艦隊指揮をいきなり任された主人公が、艦隊を率いて自陣に戻る血路を開くというスペオペ。機略を用いて敵の大軍を翻弄するプロットの魅力で読ませます。超光速航法はあるけど超光速通信はできない、という設定で、タイムラグのある情報をもとに戦う戦闘描写が面白い。
武器の主力は運動エネルギー兵器で、ビーム兵器とか出さないのもいい。補給に苦労したり艦内政治に手を焼いたり、宣撫工作というか後方霍乱みたいなことをしてみたりと、戦争ものとしてそれなりに懐の深い内容です。
ただキャラクタはけっこう類型的で、主人公は悩めるヒーローなんだけど、とにかく素早い展開で息をもつかせぬ1巻はともかく、毎回お定まりの愚痴が延々続くとちょっとうんざり。登場人物は多いんだけど、物語状の役割でしかなかったりするから、似たような役割のキャラは誰が誰やらよくわからん。民主主義とはなんぞやと議論始めるあたり、銀英伝みたいではある。
全6巻のシリーズ物で、今月5巻が出るとか出たとか。