マイク・シェパード「勅命臨時大使、就任! 海軍士官クリス・ロングナイフ」

クリス・ロングナイフもシリーズ7作目。これもまた今風スペオペの人気シリーズです。人類世界を二分する一方の勢力、知性連合主星ウォードヘブン首相の娘にして大財閥会長の孫娘、さらには知性連合が戴く王のひ孫で、プリンセスでもあるという主人公のSF活劇。なんかハヤリのラノベ風な俺TSUEEE設定みたいだけど、主人公は無駄に派手な肩書きのせいでいつも理不尽な苦労をさせられてます。今回は、開巻早々人類宇宙の辺境で、かつて人類と壮絶な死闘を繰り広げた異星人イティーチ族の宇宙船と遭遇してしまいます。ここで星間戦争の引き金を引くわけにはいかない、とクリスが相手とコンタクトを取ると、実は彼らは知性連合のレイモンド王に向けた極秘メッセージを携えた特使でした。メッセージを直接レイモンド王に伝えるためにイティーチ族一行はクリスのワスプ号に乗り込み、ウォードヘブンへと向かうことになります。
これまで前史として最小限の説明だけされていたイティーチ族が、いきなり登場してイチーチ戦争の歴史の謎が色々と出てきます。また、人類とイティーチ族は互いの言語が表現できないので会話は翻訳機に頼らざるを得ないのですが、人類側の翻訳を一手に引き受けるスーパーAIネリーの様子がここのところおかしいのも気にかかります。AIが暴走始めたら、止められるのかわからない状態で、クリスはそんなネリーを信頼しきれません。
心配事が重なるクリスですが、なんとか曽祖父でもあるレイモンド王とイティーチ族との会見を成功させて、その結果は当然、さらに困難な面倒事に突っ込んでいくことになるわけです。
クライマックスは毎回趣向を変えたハードなアクションシーンで盛り上がるんだけど、全体はクリスと妙な仲間たちとの掛け合いとか、コミカルな雰囲気で引っ張ってくので読みやすい、というか止まりません。いつもはクリスが先頭に立って撃ちあったりするんだけど、今回は瀕死の重傷を負って周りのキャラたちが走り回ったりします。
なんか僚艦にジャック。キャンベル艦長のドーントレス号とかいるけど、これってアレだよね。
ジャック・キャンベル「彷徨える艦隊」 - ねこまくら
次巻も出てくるのか。

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