ザ・コールデスト・ウィンター

デイヴィッド・ハルバースタムの遺作となった朝鮮戦争についての大作。ベトナム戦争アメリカのトラウマになったというのはよく言われるけれど、その前にあった「忘れられた戦争」朝鮮戦争こそが、その後のベトナム、アフガン、イラクと続く介入戦争の原点となった「癒えない傷」なのか。
すべて誤算から始まった戦争、ということで特に米民主党政権内部の政治力学の解説が続く上巻は、知らない名前がいっぱいでてきて読むのがちょっと大変。蒋介石に肩入れする親中ロビーの影響力の大きさがなにやら不思議でした。膨大なインタビューから再構成された戦場描写は圧巻です。
日本にとっての朝鮮戦争というと、「特需」くらいしか知らなかったりするけれども、三十八度線はアメリカとは違った意味で、大きな意味を持っているので、何があったのか知るためにも読んでおいたほうがいい名著です。