三崎亜記「コロヨシ!!」

コロヨシ!!

コロヨシ!!

「掃除」が伝統スポーツで、しかも政府によってなぜか活動が規制されている世界を舞台にした青春小説。奇想天外な設定だけれども中身は王道な熱血スポーツもの。作中の謎はそのほとんどが明かされないまま終わるが、想像力を刺激する魅力的な設定によって、むしろ豊かな奥行きを感じさせる。むしろ設定語りになりがちな説明を潔く排して、これはよい投げっぱなし。脇キャラはやや類型的で、ややもすると萌え記号そのままだったりする。人物描写より世界設定が好きなんだろうとは思う。ただし平板なキャラでも、この不思議な世界に配置されることでうまく引き立てられている。奇想の風景をあくまで背景にとどめつつ、王道の物語を展開することでバランスをとり、面白い小説として成立させている。
2クールくらいでアニメ化したらすごく面白いのでは。