ご飯をやたらと食べてると思うと、10日か2週間くらいして急に食が細くなる。薬をご飯に混ぜているので、ご飯を少ししか食べないと、薬をどれだけのんでるのかわからなくなる。2日食べなかったら強制給餌、とメドを決めていたのだが、全く食べないということはあまりなく、そうこうしているうちにまたバカみたいに食べ始める。そんな繰り返しだった。
それでも、体重は2.5キロあたりを維持していたのだが、次第に下がり気味になっていった。かなりの量を食べているのだが、体重は戻らない。なでてやってもごつごつした背骨がはっきりとわかるようになった。耳の端が赤くなった。皮下脂肪がほとんどなくなって、血管が透けているのだ。
点滴の量を増やしたが、出来ることはそのくらいだった。壊れた腎臓が戻ることはないし、加齢による衰えも避けることは出来ない。次は貧血が心配だ、と先生は言ったが、美夜の循環系はずいぶんと丈夫だった。検査の数値はぎりぎりの安全県内に留まり、時の刻みは気がつかないほどゆっくりだった。