小学生高学年から対象にした岩崎調べる学習新書から出ています。戦後マンガ史を徳者として、作者として、研究者として体験してるみなもと太郎が書いた日本マンガの体系的な歴史です。江戸時代や明治大正はともかく、対象年代のほとんどを氏はリアルタイムで経験してるんですよね。氏は戦後の生まれだけれど、昭和30年代だと戦中、戦前の雰囲気というのはなんとなく残っていたわけだし。
最初にまず円山応挙が紹介されるところで、おおっと興味を惹かれます。「W3」事件が歴史的大事件として扱われてるのも、なんか新鮮です。
人物主体のマンガ史で読み物としても面白いし、マンガ全体の状況に満遍なく目配りをした上で「現在」の視点から体系的に整理されているので、わかりやすくまとまっています。事件や作品の羅列というのではなく、マンガ表現の歴史となっていて、日本マンガ史の基本文献になるんじゃないですか。
1巻は1960年代半ばくらいまでを扱っています。目次を紹介すると、こんな感じ。