夕蜜柑「痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。」

パラメーター小説とでもいうんだろうか。ゲームライクなシステムを前提にして、レベル上げとかスキルの組み合わせとかでクエストを攻略していく系の話。読んでまず馬場翁「蜘蛛ですが、なにか」を連想した。蜘蛛は異世界モノで複雑な世界設定があるけど、これはオンラインゲームの話で、純粋にゲーム攻略だけに絞ってる。
主人公は友達に誘われてゲーム始めた初心者。防御力特化で、それ以外の攻撃力だの素早さだののパラメータはゼロという偏ったキャラクターメイキングしたんだけど、ゲームの常識を知らずに偶々とった行動がハマって、妙なスキルを獲得して異次元進化していくという話。
使い勝手の悪そうなスキルを予想外な活用法で使いこなすとか、無理ゲーっぽい条件を偶々でクリアしてレアアイテムゲットするとか、下手するとただの御都合主義に見えかねない展開を面白く読ませるアイデアは豊富で、のほほんとした主人公キャラと凶悪無敵な無双っぷりのギャップも楽しい。
ただエピソードはプロットのための段取りを解説してる域を出てないし、主人公以外のキャラは印象弱い。とはいえ文章が読みやすいのと、余計な設定描写とか言い訳みたいな解説がほとんど無くって話の流れがスムースなので、うまくエッセンスだけを面白く読ませることができてる。小説の内容もゲームで極振りする話だけど、小説自体もアイデアだけで勝負してる極振り小説だとおもう。
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