アニメ「ゆるキャン△season2」

キャンプ飯とか、食べ物がやたら美味しそうな飯テロアニメ。1期の雰囲気そのままで、2期もまったり。根っからのインドア派なのに、寒そうな冬キャンプ見て、行ってみたいとか思っちゃうんだから、大したもんだと思うよ。
実在する風景を結構リアルに描いてるのに、デフォルメかかった萌えキャラがすんなり馴染んでるのも、よく考えれば不思議で、こういうのってやっぱり京アニが拓いたフロンティアなのかなあ。

アニメ「蜘蛛ですが、なにか」

原作は小説版、コミックとも既読、WEB版も追っかけてます。
洞窟だの魔物だのバリバリCG使ってるのはゲームっぽさの演出か。細かいことは全部流して結構ハイテンポでどんどん話を進めていく。まあまともにやったら、魔王が出てくるまででもかなりボリュームあるしなあ。勇者パートと合流するとこまではやらないと、まとまんないだろ。
しかし、蜘蛛子さん主人公なのに、勇者パートの尺に押されてないか。蜘蛛子さんはバトルの見せ場だけやったら、あとは勇者パートのドラマが続くってのはどうなのよ。
あと、エンディングの異様なノリもよく分からん。蜘蛛子さん、鋼のメンタルでポジティブで、小説だと一人称ではやたら饒舌なんで忘れるんだけど、実は無口な陰キャラ設定なんだよね。ハイテンションで歌って踊ってというのは、なんか違くないか。

アニメ「無職転生 異世界行ったら本気だす」

原作小説未読、コミック版は少し読んだ。異世界転生もののパイオニア、というだけに後々テンプレ化していく描写を一から積み上げているのがかえって新鮮。アニメの描写も丁寧でいい。アニメでの小物や建物など中世ヨーロッパ風の見せ方はこれまで見たファンタジー作品の中でも抜きん出て説得力高いんだけど、なんだか妙に生々しい下ネタが浮いてる感じで抵抗感が強い。ギャルゲで培ったテクで人誑しってのも今イチ乗りづらくって。主人公にゲスいおっさんと爽やか系少年が同居してるのを、モノローグとダイアローグで別の声優に割り振るという演出は原作の持ち味を的確に表してると思うので、そこで引っかかるとなかなか見るのが辛くなる。

吉川景都「鬼を飼う」

昭和初期を舞台にした伝奇マンガ。妖怪のような「奇獣」を扱う不思議な鳥獣商四王天の店に出入りするようになった大学生鷹名は、美しく危険な奇獣たちに惹かれていく。全7巻。
最初の方は珍しい奇獣の扱い方とか飼い主のトラブルを解決したり後始末したり、といったコミカルでちょっと怖い妖怪マンガの体で始まる。そこに、奇獣商を追いかける特攻警察とか記者が絡んできて、設定が少しずつ明かされてくる。なぜかいつも現場で寝ている記者とか、コミカルな調子を崩さず、ゆっくりと風呂敷を広げて行って最後は壮大な幻想譚として綺麗にまとめた。
絵柄が少女マンガ、というか女性マンガ風だと思ったら、作者はLaLaでデビューしたんですね。twitterで子育。てマンガ書いたりとか、結構幅広く活動しているみたい。
同作者の「葬式探偵モズ」は、日本各地の葬式習俗に詳しい民俗学者が葬式の蘊蓄で推理するミステリ。電書で出版社を跨いで出てる。時系列順ならばKADOKAWA版の「葬式探偵モズ」のあとマーガレットコミックスの「挨拶」「憂鬱」「帰還」の三部作を読むのが良いです。収録作被ってないし。

ツカサ「明日の世界で星は煌めく」

街中に屍人が溢れ、終わってしまった世界で、”魔術師”南戸由貴が親友の榊帆乃夏の姉を探して冒険する話。ずっといじめられて孤立していた女子高生の南戸由貴は、父親の遺した”魔術”によって、屍人だらけになってしまった街でただ一人生き残っていた。ずっと自分以外は敵だと思っていた由貴にとって、屍人の世界でのサバイバルは、倒す相手がクリアになった状況で魔術という武器を得て、むしろ救われたように思っていた。そんな時、屍人に囲まれた女子高生を見つけ、成り行きで助け出した。それが榊帆乃夏だった。帆乃夏は屍人に襲われた時に生き別れになった姉を探して神奈川へと向かう途中だという。由貴は、一緒に探しに行くことを決意する。
子供の頃からずっとキツい状況をサバイバルしてきた由貴のメンタルの強さが物語を引っ張っていくのが小気味良い。
由貴の魔術は、杖で触れた物を自在に操るというもので、岩や瓦礫を宙に浮かべて、加速してぶつけるとか、空気を操ることで、風で火を操って燃やし尽くすとか、何かマックスウェルの悪魔的な、物理法則に従うけどエントロピーだけは無視、という感じ。屍人を防ぐ結界とか、巨大化する使い魔とかは分からん。
読後の感想は、「裏世界ピクニック」を強く想起させる。なんか拗らせてる主人公と、美人でなんでも出来て銃器を振り回す相棒とのバディものだし、その美人の彼女が崇拝している女性を探してるという構図も共通してる。なんか探してる彼女がラスボスっぽい雰囲気なのも似てるし。なんか冒険百合の一つのジャンルになるのかも。とりあえず裏世界ピクニックが好きな人にはオススメ。

無能なナナ

孤島の超能力者集団の中に潜入した暗殺者が、超能力者のフリをしながら、超能力者を一人ずつ殺してくという話。時間遡行だの霊体離脱だの、手強い相手をどう騙し、罠を仕掛けて殺すのか、クローズドサークル倒叙モノという色々捻った仕掛けになってる。暗殺者が可愛い女の子で、主人公。超能力者ばかりの中で一人超能力が無いので、無能力者という言い方になる。なかなかタイトロープな展開で、智略が見事ハマる回もあるけど、純朴な青少年は可愛い女の子の口車にカンタンに騙されるみたいな回もある。能力者の一人は探偵役を買って出て捜査したりもするけど、全体的に能力者側に危機感がない感じで、それに助けられてる。まあ皆んな自分の能力に自信があるってとこはあるかもしれないけど、どうにも戦闘に向かない能力者もいるからなあ。
しかしこれ、どうやって話をたたむのかと思ってたら、全然話終わってないけどなんだかいい感じに区切りのついたとこで終わってしまった。原作がまだ連載中なんだよね。下手に原作をいじらず、なんとか形をつけたんだから、頑張ったと思います。

もとむらえり・イスラーフィール「淡海乃海 水面が揺れる時」コミック5

同名の戦国時代を舞台にした本格歴史改変小説コミック版。近江六角家内紛、いわゆる観音寺崩れに至る微妙な勢力バランスの変動を描く、ドラマ的には重要だけれど、動きのあるシーンもないし解説は多くなるしマンガ的にはなかなか難儀なところ。キャラもどんどん増えてきて書き分けも大変だし。しかし、おじさんばっかりよくこれだけかき分けられるよね。キャラをもっと整理した方が読みやすくはなるんだろうけど、この、名前のある登場人物がどちゃっと出てくるとこが原作のキモでもあるので、漫画家さんは大変だと思います。

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