吉川景都「鬼を飼う」

昭和初期を舞台にした伝奇マンガ。妖怪のような「奇獣」を扱う不思議な鳥獣商四王天の店に出入りするようになった大学生鷹名は、美しく危険な奇獣たちに惹かれていく。全7巻。
最初の方は珍しい奇獣の扱い方とか飼い主のトラブルを解決したり後始末したり、といったコミカルでちょっと怖い妖怪マンガの体で始まる。そこに、奇獣商を追いかける特攻警察とか記者が絡んできて、設定が少しずつ明かされてくる。なぜかいつも現場で寝ている記者とか、コミカルな調子を崩さず、ゆっくりと風呂敷を広げて行って最後は壮大な幻想譚として綺麗にまとめた。
絵柄が少女マンガ、というか女性マンガ風だと思ったら、作者はLaLaでデビューしたんですね。twitterで子育。てマンガ書いたりとか、結構幅広く活動しているみたい。
同作者の「葬式探偵モズ」は、日本各地の葬式習俗に詳しい民俗学者が葬式の蘊蓄で推理するミステリ。電書で出版社を跨いで出てる。時系列順ならばKADOKAWA版の「葬式探偵モズ」のあとマーガレットコミックスの「挨拶」「憂鬱」「帰還」の三部作を読むのが良いです。収録作被ってないし。