レッドクリフ

気になってたし、評判もよさそうなんで「レッドクリフ」見てきた。とにかくわかりやすい映画だった。まず最初に歴史背景の説明があるし、メインキャラは字幕で役名が出るし。しかもシーンが変わるたびに「曹操(漢の丞相)」とか何度でも出る。NHKの大河ドラマだってそこまで親切じゃないぞ。カットも説明的だし、一つのカットで起こってることはひとつだけで「ここを見なさい」という誘導も親切。たとえば、本編とオープニングがきっちり分かれてて、オープニングはスモークをバックに博物館にあるような錆び付いた剣がモーフィングで新品になってくところだけをじっくり映す。1800年さかのぼりますよ、というわかりやすいガイドになってる。テクニカラーの頃だとよくあったけれど、きょうびここまでわかりやすい映画も珍しい。
見どころはとにかく「数が多い」というところ。人民軍の兵士千人使ったという、大軍が陣形を作って動いてくところとか、河を埋め尽くす2000隻の船だとか。戦闘シーンも武将が敵軍のただ中に斬り込んでって一人で多数を相手に奮戦するとか、多数の兵士どうしがぶつかり合うとか、とにかく「敵の数が多い」というのがあらゆるシーンで繰り返し出てきて、それを律儀にちゃんと「こんなにいっぱい」という絵を作って見せていた。八卦の陣とか、またえらく絵になってるんだこれが。戦場そのものを人間で作っちゃおうという、奇策というかなんというか、これだけでも劇場行って見る価値あるわ。
アクションはやっぱりカンフーファイトで、殺陣の演出もカメラワークもカンフー映画っぽい。英雄が一人で超人的に闘いまくるわけだけれど、一方で普通の兵士同士だと倒れた敵を取り囲んでなぶり殺しみたいな戦いをしてる。英雄の胸のすく活躍ぶりと、戦争の残忍さと、そのまま並べてつなげられると、やたらわかりやすい映画なだけに、座りの悪い落ち着かなさを感じる。おまけに戦闘の合間にはハリウッド映画みたいなベッドシーンがはさまるし。敵を圧倒して殲滅するのは合理的な戦術であって、別に残虐描写を意図してはいませんってことなんだろうなあ。孔明も嬉しそうに見てたし。
とりあえず、孔明は感情を顔に出し過ぎ。味方の兵士が切られるとすごい痛そうな顔するし、敵の兵士が倒れるとすごい嬉しそうだし。「熱くなるな」と繰り返し言ってたのは、つい熱くなっちゃう自覚があるからなのね。敵がなぶり殺しにされてるのを見てにこにこしてるのは、けっこうこわいんですけど。
あと、ヴィッキー・チャオがかわいかった。