サラ・パレツキー「ブラッディ・カンザス」

ブラッディ・カンザス (ハヤカワ・ノヴェルズ)

ブラッディ・カンザス (ハヤカワ・ノヴェルズ)

V.I.ウォーショースキーのシリーズで知られるサラ・パレツキーの最新作。自身の故郷であるカンザスを舞台に、家族の崩壊と再生を描く。
あらすじ紹介だけだと地味で今ひとつ面白そうに見えないんだけれど、読み始めると夢中にさせられるのは小説そのものの面白さがあるから。
ミステリならば探偵によって過去からつながっている憎悪と悪意の連鎖が明かされて、事件が解決するところだけれども、ここにそうした解決は訪れない。対立は解消されず、和解もない。ただ、悪意も憎悪もそこにあるものとして受け入れ、共存していくしかない。
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