食欲が戻ると、今度は嘘のように食べ始めた。
元気になると、夜、布団に潜り込んでくるようになった。あったかいからか、一緒に寝るのが好きで、朝起きようとするとみゃみゃと文句を言ったりする。ネコと暮らしてる人は、よく朝はネコに起こされると言うのだけれど、美夜は反対だった。いつまでも寝ていようとする。しかも足の間にはまり込んで寝るのがお気に入りなので、寝返りもうてなかったりする。ましてや起きるとなると、美夜をどかさないといけない。美夜は寝坊を助長するのだった。
たいがいは、どんどん潜りこんできて、勝手に丸くなるのだが、なにかで興奮したのか、落ち着かずにひとの頭の周りをぐるぐる回ってることも時々あった。眠い、眠いと啼くので、眠いなら大人しく寝たらよかろうと思うのだが、そう言うとひとの鼻の穴を噛むのである。甘噛みだろうと、キバを鼻の穴に突っ込まれると、これはびっくりするほど痛い。このときは文字通り跳ね起きた。それ以来、顔とか舐めだしたときには用心するようになった。
2週間くらいバカみたいに食べると、食が細くなって、心配してると、また食べだす。そんな波を繰り返しながら、体重も順調に増えて、最高で2.7キロくらいまでいった。しかし、腎臓病はゆっくりと進行していた。