大崎梢「キミは知らない」

キミは知らない (幻冬舎文庫)

キミは知らない (幻冬舎文庫)

主人公の悠奈は母と二人暮らしの女子高生。亡くなった父親の著書がきっかけで、数学の非常勤講師の津田先生と親しくなる。津田先生は突然退職してしまうのだが、偶然に知ったその連絡先は、父の遺品の手帳に書かれた住所と同じだった。
父親は悠奈が小さい頃、泊まっていたロッジの火災に巻き込まれて死んだのだが、その時死んだ宿泊客は二人で、もう一人の名前は津田だった。
父親の話を聞きたい気持ちと、先生に会いたい気持ちと、どちらかわからないまま悠奈はその住所に向かう。
日帰りのつもりで行った地方都市で、悠奈は次々と意外な事件に巻き込まれ、わけもわからないまま振り回されることになる。その中心には、ある村の失われた神事と、12年前の父の死が絡む秘密があるらしい。
怒涛の展開に一気読みさせられるノンストップミステリ。主人公の物怖じしないポジティブさと行動力が気持ちいい。小さな村の中での因縁やら拗れまくった人間関係との対比がキレイだし、謎解きとアクションのちょうどいい配分にも貢献してる。舞台もどんどん変わるし、謎が謎を呼び事件も盛りだくさんだけど、これ5日間の出来事なんだよね。このスピード感はすごい。