高山羽根子「うどん キツネつきの」

うどん キツネつきの (創元SF文庫)

うどん キツネつきの (創元SF文庫)

創元SF文庫だし、SFの賞とってるし、SFなんだろうなあと思いつつも、「なんだこりゃ」な不思議な短編集。そもそも、タイトルからして意味がよく分からない。キツネうどん?確かにこれは、文学的才能としか呼びようのない、なにものかに触れるという体験です。
五編収録されていて、表題作と二作目はファンタジーというか、現実を少しコードをずらして描写した、といった感じの小説です。コミカルで軽い読み味。三作目と四作目は、やっぱり不思議でシュールだけど、もう少し「SF」っぽい。最後の中編は、幻想小説ですね。東日本大震災に日本の神話を幻視したような、新感覚のシュールレアリスム