ヴァイオレット・エヴァーガーデン

京アニがとにかく細かい絵を執念で動かして話題になったアニメ。人間兵器として育てられて戦争以外の生き方を知らないヴァイオレットが、戦争が終わった後に、手紙の代筆を通じて人と人の間の感情に触れて変わっていくという話。
一つ一つのエピソードは丁寧な仕上がりでよくできてるんだけど、これだけ絵に力があると、語られる話にも相応の説得力というか現実味がないと、絵に話が負けるだろう。ヴァイオレットと少佐の関係を見てるとガンスリンガー・ガールとか思い出すんだけど、ガンスリの無茶な設定をとっ外したら、なんだか不自然な状況だけが残ったという感じ。拾われた孤児が人間兵器に育てられたって、他にそういう兵士も出てこないし、そもそもなんでそんなことをしようと思いついたんだ。妙に素直でお嬢様然とした性格と徹底した訓練の成果である殺人機械のような動きが両立するような、どんな生育史があったんだ。
飛んでる飛行機から、名前しか知らない兵士をどうやって見分けたんだとか、色々ツッコミたいとこはある。そもそも複葉機の飛行中に、操縦席と後部座席と普通に話できるのか。風の音で聞こえないんじゃないのか。特使の乗った厳戒警備中の列車になんですんなり乗り込めるんだ。最後の列車を舞台にしたアクションも、頑張ってたけど、やっぱ走ってる列車の屋根の上であのアクションは無理じゃないの。いちいち細かいことを気にしてるようだけれど、絵が要求するリアリティのレベルと、物語のリアリティのレベルがアンバランスだったと思う。