齋藤なずな「夕暮れへ」

夕暮れへ

夕暮れへ

間に20年のブランクを挟んだ、短編集短編小説のような、それぞれの生きて生活している人間の感触を生々しく伝えてくるようなマンガ。解説で呉智英が、一人一人の顔が全く違う、と書いているが、登場人物一人一人の造形を、役柄ではなく人格としてかき分けている。
ちょっと読み味はつげ義春とかに通ずる。
老いと死にまつわる話が多く、「インコの神」は患者を看取る看護婦、「カウントダウン」では老いた父を見送る話が、「トラワレノヒト」「ぼっち死の館」と、自らの老いと死を受容する話になっている。
収録作の中では「螺鈿の舟」が特に印象に深かった。