C.J.チューダー「白墨人形」

白墨人形

白墨人形

帯に「スティーヴン・キング強力推薦」とか書かれてると、こう色々と肩透かしくらった記憶が蘇って警戒するんだけれど、これは掛け値無しにキングファンに超オススメなサスペンス長編
12歳の少年たちの周りで起こる凄惨な事件と、30年後の現在が交錯する。語り手であるエディと友人たちの友情と別れにホラーな演出を入れた少年小説のパートは確かにキングを彷彿させる。過去と現在が交互に語られる構成で、友人同士の関係やその親たちの関係が露わになってくる。ミステリ、というわけではないけれど、すべての伏線がきちんと回収されて、最後のピースがはめ込まれて初めて、この美しく怖ろしい小説がなんであったのかが分かる仕組みになっている。非常に凝った緻密な構成で、大満足な一冊。