ミスト The Mist (ネタばれあり)
- 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
- 発売日: 2008/09/17
- メディア: DVD
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記録的な暴風雨に襲われた翌日、米メイン州の小さな街は突然広がってきた濃い霧に覆われる。霧の中には謎の怪物たちが潜み、スーパーマーケットに買い物に来ていた客たちは店の中で孤立する。面白いSFホラーなんだけど後味の悪さもかなりのものです。
モダンホラーの旗手としての評価を確立させた頃のキングのエッセンスが詰まった傑作中編の完全映画化。クリーチャーとかグロくて怖くてよかった。繭にされるのはエイリアンだよなあとか、先行諸作品との類似はオマージュというよりはパクリに近い気もしたけれども。生命力自体は普通で、殺せばあっさり死ぬし、数も非常識に多いわけじゃない。普通に田舎に行けばいるくらいの数だけど、ただ危険で獰猛で気持ちの悪い生物ばかりがいる。そのあたりのバランスが生々しい怖さを出していた。
偶然居合わせた人たちが協力したり反発したりというのはパニック映画の定跡だけど、そこはキングの原作もあるし手堅い作り。絶望と恐怖の中で人間心理の暗黒面が丹念に描かれていくのもキングらしい。
原作のラストは「ドーン・オブ・ザ・デッド」(ゾンビ)みたいだったけど、映画のラストは「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」というか、もっとひどい。ハリウッド製パニック映画のヒーローを完全否定する終わり方で、かなり驚いた。