スティーヴン・キング「ドリームキャッチャー」

ドリームキャッチャー
お勧め度:A+

ドリームキャッチャー〈1〉 (新潮文庫)

ドリームキャッチャー〈1〉 (新潮文庫)

ドリームキャッチャー〈2〉 (新潮文庫)

ドリームキャッチャー〈2〉 (新潮文庫)

ドリームキャッチャー〈3〉 (新潮文庫)

ドリームキャッチャー〈3〉 (新潮文庫)

ドリームキャッチャー〈4〉 (新潮文庫)

ドリームキャッチャー〈4〉 (新潮文庫)

「今度のキングはどう?こわい?痛い?」と聞かれて「臭い」と答えてしまいました。さらにキタナイかも。これまでのキングの作品に出てきたさまざまなモチーフがそこかしこに見え隠れして、斉藤美奈子村上春樹海辺のカフカ」をキャンディーズの微笑みがえし、と言ってるのを思い出した。全体のプロットは、なんかジュブナイルというか、いわゆるヤングアダルト小説にあるような。異星人の異質な知性が人間化してくとこはマクロスの「プロトカルチャー!」とか。でも、このカビのアイデアとか異星人の「正体(?)」とかいいと思うし、キングの筆力でみっしり書いたんで、並のSFよりはずっと面白い。ただキングとしてはどうも物足りない。キングの真骨頂は現実とも幻ともつかない挟間での葛藤の描写にあるわけで、それが大学助教授の自意識と異星人知性の陣取り合戦に戯画化されてしまったあたりが敗因ではないかと思う。