香月美夜「本好きの下剋上」第三部領主の養女 5

いよいよ第3部「領主の養女」完結編。表紙もローゼマインと抱き合う、初登場のシャルロッテが大きく描かれ、バックはイラスト初登場のボニファティウスお祖父様にアンゲリカ、となっていて、これまでにない緊迫した構図を目を引く。予約特典SSはコルネリウスの話で、ランプレヒト、ヴィルフリートと男兄弟が続く。巻末の書き下ろしSSは、その後のダームエルの話と、神殿厨房の料理人、フーゴとエラの話。
この辺りから貴族社会の複雑な人間関係の話が増えてくる一方、印刷業が事業化して、ローゼマインの意図を汲んで動く人たちが増えてくる。まあローゼマインが長期の休養に入って、やむなくの面はあるけれど、神殿も孤児院もローゼマインなしでも回るようになっている。「人を育てる」ことへのこだわりはずっとあって、有能な人材が集まってくるというよりは身近な人をスタッフに育てていくという傾向が強い。子弟教育にも乗り出して早くもエーレンフェストの教育政策まで立案してるし。
小説では「丸投げ」「無茶振り」と表現されることが多いけれど、中間管理者を育成して、ローゼマインの意向が継続的に組織としての機能に置き換えられていく。もちろん基本はローゼマインの活躍を追っていく小説だけれど、彼女の通った後にはその後を継ぐ組織が残っていく。
改めて読み返して見ると、打ち合わせのアポ取りから儀式や収穫祭などの準備から、手続きや段取りの説明が結構多くて、段取り小説だなあと思ったんだけれど、ユルゲンシュミット世界がどう動いているのかわかりやすく描くには極めて都合が良い。
【合本版 第一部】本好きの下剋上(全3巻)
【合本版 第二部】本好きの下剋上(全4巻)
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本好きの下剋上?司書になるためには手段を選んでいられません?第三部「領主の養女II」
本好きの下剋上?司書になるためには手段を選んでいられません?第三部「領主の養女III」
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